「化け物の中で一番おそろしいのは、よく見知った人間が、
わずかばかり変形した奴なのだ。」(第四間氷期より)
安部公房を読みこむ
ここでは、私が面白いと感じた作品についての簡単な紹介と感想を書いていきます。
注:感想文・関連作品情報は、ネタバレの危険性があります。作品を未読の方は注意して下さい。

- 「R62号の発明」 (新潮文庫) 短編
- 会社を首にされた機械技師は、生きたままロボットにされてしまう。そのロボット「R62号」の発明とは?ロボットにされるくだりが、かなりショッキングです。
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- 「闖入者」(ちんにゅうしゃ) (新潮文庫) 短編
- 主人公の前に、見知らぬ一家がやってきて、部屋を乗っ取ってしまう話。<他者への通路>という安部文学のテーマが、既に見受けられる作品です。
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- 「箱男」 (新潮文庫)
- 段ボールを頭からすっぽりかぶって、都市を徘徊する「箱男」。彼の前に、「贋箱男」が現れて、・・・。謎が謎を呼ぶ、究極の迷宮小説です。
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- 「人間そっくり」 (新潮文庫)
- 火星人を題材にした、打ち切り間近のラジオ番組を担当していた脚本家の前に、自称火星人といういかれた男が訪ねてきた。自称火星人の巧みな妄言に、脚本家は果たして正気を保つことができるのだろうか?迫真の討論デスマッチの始まりです。
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関連作品「使者」
関連作品 テレビドラマ版「人間そっくり」
- 「方舟さくら丸」 (新潮文庫)
- 主人公「もぐら」は、核時代のノアの方舟として核シェルターを作り、その同乗員たる資格のあるものを探すが、様々な闖入者のお陰で事態は思わぬ方向へ展開する。生存するということのエゴと狂気を描いた作品です。
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関連作品「ユープケッチャ」
- 「燃えつきた地図」 (新潮文庫)
- 主人公である探偵が、失踪人を探す話。遺留品を地図として、都市という迷路を探索するが・・・。最後の部分「カーブの向こう」は、とくに絶品で、存在することに対する不安を大いに掻き立てられます。
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関連作品「カーブの向こう」
- 「鉛の卵」 (新潮文庫) 短編
- 人間の欲望についての寓話。欲望そのものを消し去るか、それとも満たしつづけるかの選択を描いた傑作です。
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関連作品「デンドロカカリヤ」
- 「砂の女」 (新潮文庫)
- 安部公房の代表作。平凡な教師が、昆虫採集に出かけた砂丘で村人たちに、「砂の家」に監禁されてしまう。男は様々な方法で脱出を試みるが・・・。読後には、自由とは何かと考えてしまいます。
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関連作品「チチンデラ ヤパナ」
- 「第四間氷期」 (新潮文庫)
- 未来を正確に予測できる「予言機械」を制作した科学者を待ち受ける過酷な運命とは?世紀末の今年におすすめの本です。
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