第29巻

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紫色の波線

コメント

1991年度 選評メモー第4回新潮学芸賞[選評]
アレン, 2002/09/16
 これは、ワープロのFDの中に収められたものであり、作品ノートを見る限り、雑誌等に発表されたものではないようである。  内容を見ると、6作品中3作品が生命科学を扱った本であり、晩年の安部の興味と一致していたことがうかがえる。その3作品を下の表にまとめた。

著者 メモ中の作品名 評価 アレンが確認している著書名
立花隆 「利根川進との対談」 『精神と物質』(文芸春秋)
竹内久美子 「そんなバカな!」 × 『そんなバカな!』(新潮社)
中村桂子 「生命誌宣言」 × 不明

 この三人は現在も活躍中である。立花隆は言うまでもなく、幅広い分野を扱うノンフィクション作家として不動の地位を築いている。竹内久美子は、そのトンデモぶりで有名である(作品は結構売れているらしいが)。中村桂子は、生命誌研究館構想を安部にバカにされているが、現在実際にJT生命誌研究館館長として活躍している。
 晩年の安部の言語論・生命論については、首を傾げさせられることが多く、客観的な選評が出来たのか心配だったが、竹内久美子を蹴って立花隆を選んでいるのは、実に妥当で胸をなで下ろした次第である。

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