第20巻

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紫色の波線

コメント

『21世紀の日本』を考える[座談会]
星新一・小松左京・福島正実・石川喬司
アレン, 2000/07/26
 当時、政府から「21世紀の日本」についての論文・小説の募集があったそうだ。これは、それについての座談会。この企画は、橋本官房長官が、倉敷レイヨンの大原総一郎氏、山岡荘八氏と話をしているうちに思いついたものだそうだ。出席者は皆、この企画に対して批判的である。特に、安部は『山岡荘八氏を審査員にすることは、審査それ自体がりっぱなコメディーですよ。』、応募に際してのアドバイスとして、『それは徳川家康を読みなさい』など、きつい罵倒を浴びせている。未来予測の難しさを棚に上げた政府の脳天気さ・審査方法の妥当性などが、批判の対象になっている。

平野栄久宛書簡[書簡]
アレン, 2003/04/05
 『他人の顔』に対する平野氏の批評(*1)を読んで、「久しぶりに、批評らしい批評を受けることが出来ました。」と絶賛している。この批評に対する答えを次作(*2)で、はたすつもりだと語っている。
 収録されている平野氏の"仮面の罪ー安部公房『他人の顔』における作家主体と作品世界"という批評は大変面白い。驚くことに、安部の文体を使って、安部の作品を批評しているのだ。単にパロディーではなく、確かな裏付けと緻密な論理性があり、それでいて意表を突く飛躍・レトリックがある。安部作品を批評する方法の一つの可能性を見せてくれるものだった。

注:*1.この批評は、本巻に参考資料として収録されている。
*2.作品の年代を考えて、『燃えつきた地図』のことだと推察される

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