第18巻

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紫色の波線

コメント

こんばんは21世紀[テレビドラマ]
アレン, 2000/09/29
[あらすじ]
 電子計算機が活躍する未来が舞台。裁判も、裁判長・検事は電子計算機に置き換えられて行われている。しかし、検事は突然人間を起訴すると言い出したため、フランキー(故フランキー堺本人)は、人間の弁護人を買って出る。果たして、人間は機械の主人なのか、それとも奴隷なのか・・・。

[感想]
 『棒』では、「棒は盲を導く」というくだりがあるが、それを彷彿とさせるものとして、この作品では検事が「機械が人間を使って、進化発展したのです・・・」というせりふがある。いかにも安部らしい逆説に満ちた表現だ。
 そのような逆説が通用するくらい、棒・槍・大砲・自動車・宇宙船・・・、そして今またIT革命というブレイクスルーを目の当たりしている我々が、これからますます機械への依存性は増加させていくのは、言うまでもないだろう。
 従来の機械観に安住することに対して警告し、新しい「機械と人間」に対する価値観の創出を読者・視聴者に求めて、この作品は終わる。
 さて、目前に迫った21世紀は、どんな機械・技術・価値観を生みだしていくのだろうか?

[補足]
 恐らく、この作品のことだと思われるエピソードとして次のようなものがある。 1999/12/25の田原総一朗の番組(テレビ朝日)において、テレビ東京に勤めていた時代の田原が飛び込みで安部にテレビドラマの原稿を依頼した話が紹介されていた。有名作家安部が脚本で、当時人気絶頂だったフランキー堺と加賀まりこを起用した作品として、当時として脚光を浴びた作品だったそうだ。

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