第7巻

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紫色の波線

コメント

忘却の権利[エッセイ]
アレン, 2001/10/06
 汚職事件のたびに人々はさんざん腹を立てるが、いずれは忘れてしまう。しかし、そのことを悲観するのではなく、事件の底にある核心を抽出する人間のすぐれた能力の一つだと述べて、最後を「忘却とは、より深い記憶のことでなければならないのだ。」と締めている。
 この文章が書かれてから40年以上経った今でも、汚職事件は減少することを知らない。そして、個々の事件の忘却から得た我々の記憶とは、「汚職は、組織の腐敗から発生するものだ」ということである。しかし、このことを正すことの困難さを思うと私は悲観のため息をつかずにはいられない。

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